原則立脚型交渉術を理解し実行できるようにする
原則立脚型交渉(Principled Negotiation)とは、「ハーバード流交渉術」とも言い、ハーバード・ロー・スクールのロジャー・フィッシャー教授らが提唱した交渉術である。
この交渉術は、交渉の目的を「双方が満足できる結果(Win-Win)を得ること」とし、以下の4つの原則に基づいて交渉を行う。
- 人と問題を切り離す
- 条件や立場でなく利益に注目する
- お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える
- 客観的基準にもとづく解決にこだわる
原則立脚型交渉は、従来の交渉術である「立場駆け引き型交渉」とは対照的な考え方に基づいている。
立場駆け引き型交渉では、交渉の目的を「自分の立場を相手に認めさせること」とし、そのために相手を説得したり、脅したり、交渉を打ち切ったりといった手段を用いる。
一方、原則立脚型交渉では、交渉の目的を「双方の利益を一致させること」とし、そのために相手を理解し、協力を求めるといった手段を用いる。
原則立脚型交渉のメリット
原則立脚型交渉のメリットは、以下の3つが挙げられる。
- 双方が満足できる結果(Win-Win)を得やすい
- 交渉がより円滑に進む
- 長期的な関係を築きやすい
原則立脚型交渉では、交渉の目的を「双方が満足できる結果を得ること」と定めているため、交渉が成功する可能性が高い。
また、立場駆け引き型交渉と異なり、感情的にならず、冷静に交渉を進めることができるため、交渉がより円滑に進む。さらに、原則立脚型交渉では、交渉の過程で相手を理解し、協力を求める姿勢を見せるため、長期的な関係を築きやすい。
原則立脚型交渉の4つの原則
原則立脚型交渉の4つの原則は、以下のとおりです。
人と問題を切り離す
人と問題を切り離すとは、交渉の場で相手を人格ではなく、問題解決のためのパートナーとして捉えるということである。立場駆け引き型交渉では、交渉の場で相手をライバルや敵として捉えてしまうため、感情的になり、交渉がうまくいかないことが多い。原則立脚型交渉では、人を問題から切り離すことで、冷静に交渉を進めることができる。
条件や立場でなく利益に注目する
条件や立場でなく利益に注目するとは、交渉の場で相手が何を求めているのか、自分の求めていることは何なのかを理解することである。立場駆け引き型交渉では、相手が何を求めているのかを理解することなく、自分の立場を押し付けようとするため、交渉がまとまらないことが多い。原則立脚型交渉では、利益に注目することで、お互いの譲歩点を見つけやすくなる。
お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える
お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考えるとは、交渉の場で、お互いの利益を最大限に満たすような選択肢を複数考えることである。立場駆け引き型交渉では、自分の立場を満たすような選択肢しか考えないため、相手が納得しないことが多い。原則立脚型交渉では、お互いの利益に配慮した選択肢を考えることで、Win-Winの合意を導きやすくなる。
客観的基準にもとづく解決にこだわる
客観的基準にもとづく解決にこだわるとは、交渉の場で、お互いの主張を客観的な基準に基づいて評価することである。立場駆け引き型交渉では、主観的な意見や感情に基づいて交渉を進めるため、解決に至らないことが多い。原則立脚型交渉では、客観的基準に基づいて解決にこだわることで、交渉を円滑に進めることができる。
原則立脚型交渉の具体的な手法
原則立脚型交渉を成功させるためには、以下の手法を具体的に実践することが重要である。
事前準備をしっかり行う
交渉の前に、自分の利益を明確にし、相手の利益を推測しておく。自分の利益を明確にしておけば、交渉の場で相手に自分の主張を説得しやすくなる。また、相手の利益を推測しておけば、相手の立場を理解し、交渉を有利に進めることができる。
相手を理解する
交渉の場で、相手の立場やニーズを理解する。相手が何を求めているのか、何を重要視しているのかを理解することで、お互いの利益を一致させやすくなる。
複数の選択肢を用意する
交渉の場で、お互いの利益を最大限に満たすような選択肢を複数用意する。複数の選択肢を用意しておけば、交渉がまとまらない場合に、代替案を提示することができる。
客観的な基準を活用する
交渉の場で、お互いの主張を客観的な基準に基づいて評価する。客観的な基準を活用することで、主観的な意見や感情に基づく交渉を避けることができる。
原則立脚型交渉の実際の例
原則立脚型交渉は、様々な場面で活用できる。例えば、以下のような例が挙げられる。
- ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、取引条件の交渉や、従業員との給与交渉などに活用できる。原則立脚型交渉を用いることで、双方が満足できる結果を得やすくなる。
- 日常生活
日常生活では、買い物の値引き交渉や、友人との約束の変更などにも活用できる。原則立脚型交渉を用いることで、自分の希望を叶えやすくなる。
- 紛争解決
紛争解決の場面では、原則立脚型交渉を用いることで、対立を解消し、合意に至る可能性を高めることができる。
まとめ
原則立脚型交渉は、双方が満足できる結果(Win-Win)を得ることを目的とした交渉術である。この交渉術では、以下の4つの原則に基づいて交渉を行う。
- 人と問題を切り離す
- 条件や立場でなく利益に注目する
- お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える
- 客観的基準にもとづく解決にこだわる
原則立脚型交渉を成功させるためには、事前準備をしっかり行い、相手を理解し、複数の選択肢を用意し、客観的な基準を活用することが重要である。