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2種類の交渉の考え方を理解し使い分ける

交渉には2通りの考え方(型)があります。もしあなたがクライアントと信頼関係を構築し長期的な取引を望んでいるならどの考え方が適しているかを確認しながら読み進めてください。

目次

分配型交渉

特徴

分配型交渉とは、交渉参加者が有限な資源や利益を分配することに焦点を当てる競争的なアプローチです。分配型交渉は、通常、ゼロサムの状況で発生します。つまり、一方が得ると他方が失う構造を持っています。結果的に関与者は、相手よりもより多くの利益や資源を手に入れることを目指すことに注力します。

事例

自動車販売の価格交渉が典型的な分配型交渉です。この交渉は、購入者と販売者との間で商品(自動車)の価格に関する合意を築くプロセスです。購入者はできるだけ低い価格で車を手に入れようとし、販売者は逆に高い価格を設定して利益を確保しようとします。

価格が上がれば購入者が損をし、販売者が得をする一方で、販売者が値引きすると購入者が得をし、売り手が損をするという競争的構図が生まれます。

この取引においては、車の価格をめぐって双方の利益が制約されています。資金や価格交渉の余地は有限であり、一方が利益を上げれば他方は損失が生じます。資源の制約と競争的な要素を持つゼロサムの性格がこの交渉の特徴です。

この交渉戦略の焦点は、購入者と販売者は、価格に関する議論を通じて互いの立場を押し広げ、最終的な合意の形成です。価格の分配のみが焦点であり、一方が優位になれば他方が劣勢になるため、交渉者は巧妙な戦略や交渉テクニックを駆使して、自らの立場を最大限に強化しようとします。

統合型交渉

特徴

統合型交渉は、交渉参加者が協力して問題を解決し、双方が得ることを目指すアプローチです。ゼロサムではなく、Win-Winの結果を追求します。関与者はお互いの利益やニーズを理解し、共通の目標を達成するために協力して努力します。

事例

労使協定の交渉が統合型交渉の一例です。労使協定の交渉では、従業員と雇用者がお互いのニーズや立場を理解し合い、協力して最良の解決策を見つけ出そうとします。これは、雇用者が生産性向上を達成し、同時に労働者が公正な報酬と労働条件を確保するという、双方にとって有益な合意を目指すプロセスです。

労使協定の交渉では、賃金、労働時間、労働環境、雇用の安定性などが重要なテーマとなります。雇用者は企業の生産性と競争力を保ちながら、労働者は働きやすい環境で公平な報酬を得ることを求めます。交渉者はこれらのテーマを具体的な要素に分解し、双方が受け入れ可能な条件を見つけ出す努力をします。

労使協定の交渉は通常、長期的な雇用関係を築くために行われます。経済的な変動や業界の変遷にも対応する必要があります。そのため、適切なトレードオフを見つけながら、双方が将来にわたって協力的な雰囲気を維持できる合意を築くことが求められます。

労使協定の交渉は、統合型交渉の理念に基づき、協力と問題解決を通じて双方に利益をもたらす持続可能な合意を築くことを目指します。

まとめ

交渉の考え方(型)には分配型交渉と統合型交渉の2通りがあります。それぞれの交渉は、交渉の目的やアプローチがまったく異なります。分配型は対立を含む競争的な要素が強調され、一方が勝つと他方が負ける構造です。一方で、統合型は問題解決と協力が重視され、双方が利益を最大化できる解決策を見つけ出すことが目指されます。

適切な交渉戦略の選択は具体的な状況や関係に依存します。分配型は短期的な取引や競争的な状況で有用ですが、統合型は長期的な関係や共同作業に適しています。

交渉者は状況を的確に判断し、両方のアプローチを使い分けることが重要となります。

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